老後資金はいくら必要?世代別生活費の目安と貯蓄方法

こんにちは、藤本です。

タイ・マレーシア・日本でファイナンシャルアドバイザーとして日本でも海外でも出来る貯蓄・資産運用を紹介しています。

ご自身の老後資金がどれくらい必要かご存知ですか?

「2,000万円は必要」や「3,000万円でも足りない」というように、さまざまな情報が溢れているなかで、本当はいくら必要なのかわからず不安な方もいるでしょう。

大きなお金をすぐに用意できるなら心配する必要はありませんが、日々の生活の中で2,000万円や3,000万円のような大きなお金を準備することは簡単なことではありません。

いざと言う時に困らないよう、できるだけ早いうちから老後の生活に向けて準備を始めておきたいものです。

今回は老後の生活費や公的年金額をシミュレーションし、必要な老後資金と準備方法を紹介します。

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老後について知っておくべき3つのこと

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老後資金について考える際、まずはじめに知っておくべきことを3つ紹介します。

◆老後2000万円問題

テレビや新聞などで大きく取り上げられた「老後2000万円問題」。

多くの方が耳にしたことがあるかもしれません。

「老後2000万円問題」とは、「市場ワーキング・グループ」と呼ばれる金融庁の金融審議会が令和元年6月に発表した報告書で、「老後の生活では約2,000万円不足する可能性がある」と試算したことから注目された問題です。

2017年に総務省が発表した「家計調査」における高齢夫婦無職世帯の「実収入」と「実支出」の平均値をもとに、老後30年間で不足する資金を試算しています。

《夫65歳以上、妻60歳以上の高齢無職世帯
・実収入の平均:209,198円
・実支出の平均:263,718円

上記の平均値の差額、つまり毎月不足する金額は「54,520円」となります。

毎月の不足金額を約55,000円とし、夫95歳、妻90歳までの30年間生活し続けたならば、必要となる金額を求めると、

55,000円×30年間×12ヶ月=19,800,000円

となり、これが「老後2000万円問題」として取り上げられたのです。

◆年々伸びている平均寿命

厚生労働省「令和2年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は2020年時点で男性81.64歳、女性87.74歳と、男女とも過去最高を更新しました。

過去最高を更新するのは2020年時点で男性が9年連続、女性は8年連続となっており、健康志向の高まりや医療技術の進歩などが要因とみられています。

厚生労働省「令和3年簡易生命表」では、2021年時点の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳と前年を下回りましたが、新型コロナウイルス感染症が平均寿命の引き下げに影響を及ぼした可能性があるでしょう。

東日本大震災や新型コロナウイルス感染症などの大きなできごとにより、平均寿命に変化があるものの、おおよそ増加傾向にあります。

今後も、老後の生活が長くなることが予想され、そのぶん老後に必要な資金は増えていくでしょう。

◆年金支給年齢の引き上げや支給金額の引下げ

2022年4月から公的年金の支給額が改定され、4年ぶりに引き下げられました。

2022年4月以降の公的年金支給額は0.4%減り、受給開始年齢は現行の60〜70歳から60〜75歳に拡大しています。

公的年金の支給額は賃金や物価の変動に合わせて毎年度改定されていますが、新型コロナウイルスの影響により労働世代の賃金が減ったことから引き下げられました。

また今の日本は長生きする人が増え労働人口が減少する「超高齢社会」であり、年金受給者を支える労働人口は2018年時点で高齢者1人あたり2.1人しかいません。

平均寿命が伸び、「超高齢社会」が進むと、年金支給年齢の引き上げや支給金額の引き下げの可能性が高まるでしょう。

そのためひとつの仕事以外での収入源を増やしたり、お金を運用し労働以外での収入を得たりと、老後に必要なお金を自分自身で備えることが必要なのです。

《世帯別》老後に必要な金額

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老後の生活に必要な金額を知るためには、「老後に必要なお金の総額」と「受給できる公的年金」を知ることが重要です。

まずは、「老後に必要なお金の総額」を世帯別にみていきます。

《夫婦ふたり世帯》老後に必要な生活費

総務省統計局が発表した2020年(令和2年)の家計調査年報(家計収支編)によると、夫婦ふたり世帯で老後に必要な1ヵ月あたりの平均支出額は、255,550円でした。

65歳から85歳と95歳までに必要となる生活費をそれぞれ計算すると、以下となります。

65歳〜85歳(20年間) 65歳〜95歳(30年間)
61,332,000円 91,998,000円

《単身世帯》老後に必要な生活費

総務省統計局が発表した2020年(令和2年)の家計調査年報(家計収支編)によると、単身世帯で老後に必要な1ヵ月あたりの平均支出額は、144,687円でした。

65歳から85歳と95歳までに必要となる生活費をそれぞれ計算すると、以下となります。

65歳〜85歳(20年間) 65歳〜95歳(30年間)
34,724,880円 52,087,320円

◆単身なら少なくとも3,000万円、夫婦ふたりなら6,000万円以上が必要

平均支出額をもとに老後資金を計算すると、「単身なら少なくとも3,000万円、夫婦ふたりなら6,000万円以上が必要」という結果となりました。

これはあくまで平均額です。

日本の平均寿命は年々上昇していること、また上記の平均支出額には医療費や介護費、娯楽費、葬儀費は含まれていないことを考えると、もう少し余裕を持って準備しておく必要があるでしょう。

さらに、生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、老後にゆとりのある生活を送るための平均支出額は約36.1万円でした。

老後にゆとりのある生活をしたいなら、1ヶ月あたり+5万円〜10万円上乗せした金額で考える必要があります。

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老後資金は公的年金だけで足りる?

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老後の生活には、単身なら少なくとも3,000万円、夫婦ふたりなら6,000万円以上が必要と言うことが分かりました。

老後の収入源のひとつ「公的年金」で老後資金をカバーできるのでしょうか。

現在年金を受給している方の数値をもとに、老後資金をカバーできるのか確認してみましょう。

◆公的年金とは

公的年金は、「老齢基礎年金(国民年金)」と「老齢厚生年金」の2つの種類があります。

・老齢基礎年金(国民年金)

日本に住む20〜60歳の国民全員が加入する年金制度。20〜60歳までの40年間保険料を納めていれば満額支給されるが、保険料納入月数により受給額が異なる。国民であれば一律支給される。

・老齢厚生年金

公務員や企業の会社員が加入する年金制度。公務員や企業の会社員は老齢基礎年金(国民年金)に加え老齢厚生年金が支給されるため、「2階建て」の年金制度とも呼ばれる。

◆公的年金の平均受給額と世帯別の受給額

厚生労働省の「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均受給額は以下のようになっています。

https://www.mhlw.go.jp/content/000706195.pdf

令和元年度時点の老齢基礎年金の平均受給額は月額56,049円、老齢厚生年金との合計受給額の平均は146,162円です。

老齢基礎年金の平均受給額 56,049円
老齢厚生年金との合計受給額の平均 146,162円

※令和3年4月以降の、保険料を40年間納めた場合の老齢基礎年金の満額は月額65,075円ですが、老齢基礎年金の平均が56,049円となっているのは、未納した期間がある方も含むからです。また、老齢厚生年金は年収や加入月数によって年金額が変動するため、人によって受給額は大きく異なります。

◆世帯別の公的年金の受給額

老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金の平均受給額を世帯別に見てみましょう。

《夫婦ふたり世帯が受給できる公的年金額》
夫婦とも会社員の場合 292,324円
会社員+専業主婦(夫)か自営業の場合 202,211円
夫婦とも自営業/自営業+専業主婦(夫)の場合 112,098円


《単身世帯で受給できる公的年金額》
会社員の場合 146,162円
自営業の場合 56,049円


公的年金だけで老後資金はカバーできる?

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「老後に必要な資金」と「受給できる公的年金額」がわかったところで、公的年金だけで老後の生活費をカバーできるのかどうかを計算してみましょう。

総務省統計局が発表した2020年(令和2年)の家計調査年報(家計収支編)の1ヵ月あたりの平均支出額をもとに、夫婦ふたり世帯と単身世帯に分けて紹介します。

◆夫婦ふたり世帯

夫婦ふたり世帯の老後に必要な1ヵ月あたりの平均支出額「255,550円」から、夫婦が受給できる年金受給額を差し引いて、不足する金額を算出します。

平均年金受給額 平均支出額 不足金額
夫婦とも会社員の場合 292,324円/月 -255,550円/月 36,774/月
会社員+専業主婦(夫)か自営業の場合 202,211円/月 -255,550円/月 -53,339/月
夫婦とも自営業/自営業+専業主婦(夫)の場合 112,098円/月 -255,550円/月 -143,452/月


◆単身世帯

単身世帯の老後に必要な1ヵ月あたりの平均支出額「144,687円」から、夫婦が受給できる年金受給額を差し引いて、不足する金額を算出します。

平均年金受給額 平均支出額 不足金額
会社員の場合 146,162円 -144,687円/月 1,475/月
自営業の場合 56,049円 -144,687円/月 -88,638/月


◆公的年金だけでは老後資金が足りない

多くの場合、定年となる65歳から老後生活が始まります。

近年は「人生100年時代」とも言われており、もし100歳まで生きたとすると必要な老後資金は約35年間分です。

平均寿命が伸びるだけ老後資金は増加していくでしょう。

「老後に必要な1ヵ月あたりの平均支出額」は生活費のみの数字であるため、医療費や介護費といった生活費以外への備えも必要になることを考えると、公的年金だけでは足りない恐れが出てきます。

公的年金の受給額は年々減少していることから、実際いくらの公的年金が受け取れるのかはわかりません。

歳を重ねるほどケガや病気のリスクも高くなり、介護施設に入所する場合はさらに高額な費用がかかることを踏まえて、今のうちから老後資金の準備を検討しましょう。

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効率的に老後資金を準備する方法

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公的年金だけでは足りないとなると、老後の資金を準備するためにはどうしたら良いのでしょうか。

ここでは、「貯金だけで老後資金を賄う場合」と、「効率的に老後資金を準備する方法」を紹介します。

◆老後資金を貯蓄だけで賄う場合、いくら必要?

公的年金だけでは不足する老後資金を自分で準備しようとした場合、まず思いつく方法が「貯蓄」ではないでしょうか。

「老後までに3000万円貯蓄する」ために、30歳・40歳・50歳・60歳のパターン別に月々必要な貯蓄額をみてみましょう。

《年齢別》老後までに3000万円を貯蓄するために必要な毎月の貯蓄額
年齢 65歳定年までの年数 老後までに3,000万円貯蓄するために必要な積立金額/月
30歳 35年 71,400円
40歳 25年 100,000円
50歳 15年 166,700円
60歳 5年 500,000円


◆老後資金を効率的に貯蓄するなら、投資や保険を活用しよう

Fidelityが2020年にビジネスパーソン1万人に行った調査では、5年前よりも投資人口が10%増加し全体の約40%が投資を行っており、中でも30代男性の2人に1人が投資を行っているというデータが出ました。

投資人口の増加理由で最も多いのが、「少額から投資ができる」「短期投資だけでなく、長期投資という手段もある」といった考えが浸透してきたことです。

また、さまざまなメディアで大きく取り上げられたことで、投資が身近になったことも投資人口が増加した大きな要因かもしれません。

こどもの進学費用や老後資金など、大きなお金を用意する方法に「投資」や「保険」を選ぶ人が増えており、「投資」や「保険」は貯蓄に有効な方法だと言えるでしょう。

まとめ

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単身世帯なら少なくとも3,000万円、夫婦ふたり世帯なら6,000万円以上が必要となるため、公的年金だけでは、老後生活に不安が残ります。

近年は「人生100年時代」と言われるように、今は健康で元気でも、歳を重ねるうちにケガや病気になり、思わぬ医療費や介護費が必要になるかもしれません。

お金の心配なくゆとりある老後生活を送るためにも、早いうちから計画的に老後資金の準備を始めることが大切です。

ファイナンシャルアドバイザーへ相談し、必要な老後資金額の算出や自分に合った方法を知るところから始めてみましょう。

「もっと早くに始めておけば良かった」と後悔しないためにも、ぜひ一度自分のお金の使い方や将来への備えについて考えてみてはいかがでしょうか。

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藤本弘之(Hiroyuki Fujimoto)
マレーシア在住の独立型ファイナンシャルアドバイザー。 関西学院大学卒業後HRサービスを提供する企業へ入社し、企業の「人」に関しての将来設計を主として担当。現在はQuestor Capital Ltd.に所属しながら、主にマレーシア・タイ・日本に居住されている方を中心に金融機関の紹介だけでなく、契約から契約後の運用、ファンドの組み替え、入出金まで資産形成・資産運用に関わるすべてをサポート。現在4歳になる男の子のパパ。趣味はサウナとキャンプ。

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